撮影・福森クニヒロ 構成&文・大和まこ
華やかな都をどりに、花に彩られる庭、今しか見られないアートまで。この春ならではの京都の名所と、ともに巡りたい立ち寄りスポットを案内します。
鹿ヶ谷(ししがたに)|特別公開の寺院にて、椿の花と襖絵を鑑賞する
霊鑑寺
可憐に雅に咲く椿に浸る春のひととき
承応3(1654)年、後水尾天皇の皇女・多利宮が創建した尼門跡寺院。大文字山の麓にあることから、谷の御所とも呼ばれる。
境内に数多くの椿が植えられているのは、後水尾天皇が椿を好んだことから。樹齢400年で時の帝も愛でたという真っ赤な日光椿から、ピンクの花びらが一枚ずつ散った姿も美しい散椿、大輪の白牡丹椿、舞鶴椿など、花の色や趣も様々な椿は実に100種類以上。
通常は非公開の寺院ながら、椿が咲く3月から4月にかけては特別公開が行われる。
書院では狩野派の作と伝わる障壁画「四季花鳥図」に加え、江戸11代将軍・徳川家斉が贈ったとされる360年前の雛人形も今年初公開。本堂の「如意輪観音像」など見どころの多い密やかな尼寺だ。
京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町12
TEL.075・771・4040
通常非公開 「霊鑑寺 春の特別公開」3月20日(木・祝)〜4月13日(日)
10時〜16時30分(最終入場16時)
期間中無休
拝観料800円。
京都市バス32系統上「宮ノ前町」より徒歩3分。
法然院
現代的な枯山水と襖絵を眺めに
東山三十六峰に抱かれてひっそりある法然院は、法然上人にゆかりある古刹。折々の紋様が描かれる白砂壇で知られる。山門の先に現れる白砂壇は水を表し、その間を通ることで心身が清められ、浄域へ入ることができるのだ。
境内に咲く椿が見ごろを迎える4月初旬には、通常非公開の伽藍の特別公開が行われる。
本尊の阿弥陀如来坐像、桃山時代の狩野光信筆の襖絵などとともに注目を集めるのがアメリカ出身の作庭家、マーク・ピーター・キーンによる「Empty River Garden/空の川」。三銘椿が並ぶ庭をモダンに仕立て、白砂に炭で川を描いた枯山水もまた、落ちる椿の花とのコントラストが美しい。
京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町30
TEL.075・771・2420
6時〜16時
無休
入山料無料。
「春季伽藍内特別公開」毎年4月1日〜7日。
文化財保存協力費800円。
京都市バス32系統「南田町」より徒歩5分。
ここにも立ち寄り
Botanic Coffee Kyoto(ボタニック コーヒーキョート)
非日常へ誘うティータイム
ヴィンテージマンションの半地下にあるカフェは、空間も器づかいもクラシカルで優雅な雰囲気に惹かれる。
銅板で焼くホットケーキ850円は外はサクッと、中はふんわりの軽やかさ。レモンがアクセントのフレンチトーストやバターたっぷりのスコーンなど、心くすぐるラインナップが揃っている。
春はテラス席で風を感じながら過ごすのもいい時間。紅茶(ポット)800円。
京都市左京区鹿ヶ谷上宮ノ前町54・7
TEL.075・366・4723
営業時間:9時〜18時(17時30分LO) 月曜休、ほか不定休
京都市バス32系統上「宮ノ前町」より徒歩1分。
Yuki Pallis Collection (ユキ パリス コレクション)
一期一会の出合いに心沸く
デンマークと京都を拠点にキュレーターやコーディネーターとして活躍するユキ・パリスさん。
2階はユキさんが長年かけて収集してきたヨーロッパの手仕事の作品や道具を展示するミュージアム。1階はそのセンスに触れられるショップとなっている。
北欧や日本を中心に、古今東西の美術工芸品からアクセサリー、実用の器などまでが並ぶ。手仕事が生み出した美に触れる幸せを感じたい。
京都市左京区浄土寺南田町14
TEL.075・761・7640
営業時間:11時〜18時
水・木曜休、夏季(8月)休、年末年始休
2階ミュージアム入館料600円。
京都市バス「銀閣寺前」より徒歩5分。
菜食 光兎舎(さいしょく こうさぎしゃ)
旬を味わう力強い菜食づくし
店主の加藤祐基さんが作る光兎舎ごはんプレート2,700円は、京都・京北『アマツチオルガニカ』の有機野菜などをふんだんに使い、野菜の苦味や雑味もあえて生かした料理がぎっしり盛り込まれた一皿。
大豆肉のチリソース 切干大根餅、里芋八角風味揚げなど10種以上の料理は、野菜の旬とともに内容が変化。スパイスづかいや食材の組み合わせもユニークな料理は、お腹も心も満たしてくれる。
京都市左京区浄土寺馬場町113
TEL.075・761・7707
営業時間:11時30分〜15時LO(売り切れ次第終了)
日〜火曜休、ほか不定休 予約がベター。
京都市バス5・32・203系統など「浄土寺」より徒歩すぐ。
『DIwida.Blog』1137号より