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フォルクスワーゲン「ゴルフ」が改良を受けて、2025年1月に日本発売された。

【写真】フロントバンパーなどデザイン面でも変わったゴルフ8.5

マイルドハイブリッド、ディーゼル、それにハイパワーの「GTI」というフルラインナップで、買うときはかなり悩みそう。3月に試乗して、「自分ならコレ」というモデルを決めた。

【写真】8.5へと進化したゴルフ各グレードの内外装を見る(50枚)

ゴルフ8→8.5へ、進化の内容

今回の改良は、ドイツ本国で2024年1月に実施されたもの。いわゆる「ゴルフ8」から「ゴルフ8.5」への変更であり、眼目は「パワートレインの進化」「運転支援機能の強化」「デジタル化」にあるとされる。

ゴルフとゴルフ・ヴァリアント(ステーションワゴン)ともに、最大の特徴は新OS(オペレーティングシステム)の採用。「MIB4」と名づけられた新インフォテイメントシステムを導入し、ダッシュボード中央部に12.9インチのスクリーンを設置した。

特に会話型音声認識システム「IDA(アイダ)」の搭載が、利便性をうんと上げている。ドライブ中に「ハロー、アイダ」と発声すると、システムが立ち上がる。聞き取り能力が高くて、ナビゲーションシステムに目的地を設定したり、室内温度を調整したりがやりやすい。

ただし、日本仕様はコネクテッド(通信機能)機能が限られる。音楽のストリーミング再生と、プリセットされている車両の機能操作以外はできない。ただし、地図情報はOTA(Over The Air)で、自動的にアップデートされる。日常的な使い勝手は十分、よさそうだ。

外観上はヘッドランプ、バンパー、リアコンビネーションランプなどの意匠が変更に。グレードによっては、フロントグリル中央のVWエンブレムがイルミネーションタイプとなり、夜間、目をひくようになっている。

パワートレインは、冒頭であげたように大きく3つ。「eTSI」は4気筒1.5リッターガソリンのマイルドハイブリッド(MHEV)、「TDI 4MOTION」は4気筒2.0リッターディーゼル、そしてGTIは2.0リッターガソリンで、TDI 4MOTIONのみフルタイム4WDとなる。

従来eTSIに用意されていた3気筒の1.0リッターエンジンはラインナップから落とされた。その代わり今回、1.5リッターは、出力違いの種類(85kWと110kW)が用意されている。

もうひとつの注目点は、GTIの最高出力が上がったこと。15kW向上して195kW(265ps)になった。370Nmの最大トルクはそのまま。もちろん、伝統的な前輪駆動方式も守られる。4WDがほしい人のための「ゴルフR」の改良版は、追って発売されるようだ。

GTIがゴルフの金看板であることは、いまも変わらない。赤いアクセントとチェック柄のシート地といったアイコン的なディテールは、今回も踏襲された。「この先、仮にフル電動化されても、GTIという存在は残したい」と、本社のCEOも語っている。

「ソフトすぎる」の声に応えて

乗ってみれば、期待どおり炸裂するようにトルクが出てくるスポーティなフィールは健在。195kWの最高出力は5250~6500rpm、370Nmの最大トルクは1600~4500rpmの間で得られ、回転を上げていくと、しっかり応えて力を出してくれる。

足まわりの設定は「スポーツ」と「コンフォート」が選べる。「DCC」と名付けられた電子制御ダンパーの減衰力を、モニター内で選択できるのだ。

聞くところによると、これまでの第8世代のGTIは、「足回りの設定がソフトすぎる」という声が顧客の間で一定数あったとか。私はドライブしながら「スポーツ」モードにしてみて、その“声”が意外だった。乗り心地は考えていた以上に硬めだ。

操舵に対して、車体の反応が速くなる印象で、わかりやすいスポーティさがある。こういう味付けが、求められていたのだろう。

でも、私としては、「コンフォート」モードのほうが好ましかった。路面からの突き上げは吸収され、スポーツカーというよりGT(グランツーリスモ)的なキャラクターが強く出るように感じられるからだ。

あたりのやわらかい、といえばいいのか、GTIの持つトルクの豊かな走りを味わうのによい設定だ。

走りに加え、GTIでもうひとついいところは、内装だ。適度にスポーティ、かつ1975年の初代GTI以来から、いまにいたるヘリティッジをうまく活かしたデザインがしゃれている。

とりわけフロントシート。初代GTIで使われたチェック柄のファブリックをアイコン的に使うとともに、やはり初代のフロントグリルに使われた赤いラインの現代的解釈である赤色を各所に使用する。

たとえば、ステアリングホイールのステッチは赤だし、私が乗った車両ではシートの側面にも赤が配されていた。これが実にスポーティで、GTIに強い思い入れを持っていなかったとしても好きになれるだろう。

強烈な加速のTDI 4MOTION

「TDI 4MOTION」は、フォルクスワーゲンがこのところ力を入れている、いわゆるクリーンディーゼルのモデルだ。ダブルドージングといって、排ガスに含まれる窒素酸化物を無害化するのに、尿素を使う工程を以前の1回から2回に増やしている。

1968ccの4気筒ターボディーゼルエンジンは、最高出力110kW、最大トルク360Nmでもって、前後輪を駆動する。ゴルフで4輪駆動を選ぶなら(このあと登場するゴルフRを除いて)TDI 4MOTIONが唯一の選択だ。

私が乗ったのは、ハッチバックより50mm長い2670mmのホイールベースを持つヴァリアント。仕様は、仕立てがスポーティな「R-Line」だ。

印象的だったのは、エンジントルクの太さ。ディーゼルエンジンの特性は、そもそも低回転域での太いトルクにあるけれど、このTDI 4MOTIONはアクセルペダルが軽めであり、ちょっと右足に力を入れただけで強烈な加速が得られる。

個人的には、アクセルペダルの重さはもう少し調整が必要かなと思うものの、この感覚が好きだという人がいても不思議ではない。足まわりの設定も硬めで、慣れてしまえば、機敏に走り回れるのもメリットだろう。

エンジン音が大きめなことと、18インチ径のロードホイールと組み合わされた扁平率40%のブリヂストン「TURANZA(トランザ)」のタイヤノイズが車内によく聞こえてくるのは、やや質感を削ぐようで残念な点だ。

実は今回のゴルフ8.5で、個人的にもっとも気に入ったのは、マイルドハイブリッドのeTSIだ。

1497ccの4気筒ターボエンジンにマイルドハイブリッドシステムを組み合わせた、前輪駆動モデルだ。

今回、私が乗った「eTSI Style」は2種類あるeTSIの高出力版のほうで、「eTSI Active Basic / eTSI Active」の最高出力85kW、最大トルク220Nmに対して、それぞれ110kW、250Nmとなる(スポーティなのR-Lineもこれと同じ)。

乗ると爽快なエンジンのフィーリングがとてもよく、すぐ好きになれた。アクセルペダルとエンジントルクとのマッチングがよく調整されていて、自分の思うように加速する感覚が気持ちよい。

18.7km/L(85kW版は18.8km/L)という燃費を達成するために、フォルクスワーゲンではeTSIのエンジンを、通常のオットーサイクルでなく、燃焼過程が少し異なるミラーサイクルとしている。

排気バルブが閉じるタイミングをやや遅らせるのがミラーサイクルの特徴で、メリットは前述のとおり燃費向上。デメリットはパワー。同じ排気量のオットーサイクルエンジンに対して、少々パワーが落ちる。

メーカーによっては、パワーダウンをカバーするため排気量を上げるなどしているけれど、フォルクスワーゲンはあえて、1.5リッターのまま。可変ジオメトリータービンを採用したターボチャージャーの作動タイミングなどで、調整しているようだ。

燃費を追求しながら、トルク感があり、上の回転までよどみなく回る、フィーリング的に気持ちよいエンジン。フォルクスワーゲンの技術力に感心させられるのが、eTSIのよさだ。

現行の第8世代では実現しないかもしれないけれど、「ティグアン」や「パサート」に設定されている電子制御ダンパー「DCC Pro」がそなわれば……と私は願ってしまった。DCC Proは、実に良い乗り心地を提供してくれるからだ。

GTIもいいけれど

ゴルフ8.5の価格は、ハッチバックのeTSIが349万9000円からで、ここで紹介したeTSI Styleは443万7000円。TDI 4MOTIONは396万円から、そしてGTIは549万8000円。

ステーションワゴンであるゴルフ・ヴァリアントは、eTSIが363万9000円からで、TDI 4MOTIONが410万円からとなり、GTIの設定はない。

GTIのスポーティな仕上がりはもちろんいいけれど、冒頭で「自分ならコレ」と決めたのはeTSI。この爽快な走り、ぜひとも一度味わってみてほしい。

【写真】改めてチェックしたいゴルフ8.5のディテール(50枚)
 
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