四半世紀ぶりに復活する新型「プレリュード」どんなクルマに?
ホンダは、2001年に生産終了した「プレリュード」を四半世紀ぶりに復活させ、2025年秋に新型モデルを発売する予定です。かつて2ドアクーペとして人気を博したプレリュードが、現代にふさわしい次世代スポーツカーとして生まれ変わろうとしています。

プレリュードは1978年に初代モデルが登場し、2001年まで5代にわたり生産されたスペシャリティクーペです。初代は日本車初の電動サンルーフを標準装備し、独自の個性で注目を集めました。2代目はリトラクタブルヘッドライトと流麗なスタイルで人気を博し、3代目では世界初の4輪操舵システム(4WS)を導入。技術革新を続ける存在として支持されてきました。
【画像】超カッコいい! ホンダ「新型プレリュード」を画像で見る(30枚以上)
2001年の生産終了以降はラインナップから姿を消していましたが、2023年の「ジャパンモビリティショー(JMS)」で新型コンセプトモデルが発表され、市販化に向けて開発が進められていることが明かされました。
2025年1月の「東京オートサロン」では、同年の秋より発売予定であることが明らかとなり、より量産に近いプロトタイプが展示され話題となりました。
新型プレリュードは、ホンダの電動化技術とスポーツ性能を融合させた次世代ハイブリッドスポーツクーペとして開発されています。
エクステリアは現代的な洗練さとスポーツクーペらしい低重心のシルエットが融合したデザインが特徴です。フロントはシャープなLEDヘッドライトとワイドなグリルで精悍な印象を与え、サイドは長いボンネットと滑らかに流れるルーフラインがエレガントさを演出しています。リアには水平基調のテールランプと、わずかに跳ね上がったリップ形状のトランクスポイラーが備わり、クーペらしい引き締まったスタンスを際立たせています。
パワートレインには、「シビック」や「ZR-V」に採用されている2.0リッター直噴エンジン+2モーターによるシリーズパラレルハイブリッドシステム「e:HEV」をベースにした次世代e:HEVシステムが搭載される見込みです。出力や性能数値は未公表ですが、スポーツ走行を意識したチューニングが期待されています。
さらに、ホンダが新たに開発した制御技術「Honda S+ Shift」が初搭載されます。これはモーター駆動ながらも変速感を演出する技術で、ドライバーの操作に応じた回転数制御やアクティブサウンドによって、感覚的な一体感を高めています。今後、他のe:HEVモデルにも展開予定とされています。
足回りには、現行「シビック タイプR」のプラットフォームをベースに専用チューニングを施したシャシーを採用。フロントにはデュアルアクシスストラット、リアにはマルチリンク式サスペンションを装備し、ZF製の電子制御可変ダンパーによって走行モードに応じた減衰力調整が可能です。タイヤは235/40R19サイズで、スポーツ走行に十分な性能を確保しています。
単なる復刻にとどまらず、ホンダの最新技術とともに「操る楽しさ」を追求した新型プレリュード。インテリアや詳細なスペックなどはまだ明らかになっていないものの、往年のファンだけでなく、次世代のクルマ好きをも魅了する一台となることが期待されています。
「プレリュード」の名に込められた意味とは
ホンダ公式ページで新型プレリュード開発責任者の山上智行氏はこう語っています。

――1996年に発売された5代目から四半世紀以上を経て、Hondaのラインアップに「PRELUDE」の名が復活します。このモデルにはどのような意味が込められているのでしょうか?
山上:PRELUDEは、クラシック音楽の「前奏曲」を意味し、新たな始まりを象徴します。新型PRELUDEも、新時代に先駆けるスポーツカーとして、走る楽しさを再定義したいと考えています。
――PRELUDEの復活が決まったとき、どのようなモデルにしようと考えましたか?
山上:実は、最初からPRELUDEを復活させようと決めていたわけではありません。時代に合う新しいスポーツモデルを模索する中で、この名前が自然とフィットしたのです。ですから、過去の復刻ではなく、現代の技術や価値観に合ったクルマを目指しました。
――新たな時代のPRELUDEとして、求めた価値はどんなものだったのでしょうか?
山上:反響はどうしてもヘリテージに寄りがちですが、先入観にとらわれないでほしいと思っています。過去の良さを学びながら、現代にふさわしく進化させることが重要です。流行を取り入れつつ、流されすぎないこと。そのバランスが今の時代には必要だと考えました。
PRELUDEは時代ごとに姿を変えながらも、「スポーツ性」と「スペシャリティー」は常に共通しており、最先端技術を取り入れる精神も受け継いできました。新型でもその姿勢を大切にしています。
――1980~90年代を知る人は、PRELUDEと言えば“デートに出かけるクルマ”という印象もあるかもしれません
山上:今と昔でデートの形は変わっても、「誰かと特別な時間を過ごす」という本質は変わりません。PRELUDEは、そんな特別な時間を楽しめるクルマでありたい。
スポーツカーと聞くとF1や戦闘機のような鋭さを想像しますが、今回はグライダーのように、気持ちよく空を滑るような感覚を目指しました。